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扉を開くと空一面を覆い尽くす満点の星空が広がっていた。
虫の鳴き声が夜を彩る。
「智治、タバコくれ……って、どうした?」
横を見ると智治がへばっていた。
「暑い~。何だよ、この暑さ。」
「今まで秋、春、冬と来たから夏なんだろ?野球選手がだらしないぞ?」
「バカやろ~。我慢出来るとか、出来ないのレベルじゃないぞ。」
精神体の俺では解りづらいが、相当暑いのだろう。
智治は汗だくで、苦悶の表情を浮かべている。
何処かで休ませたいが、見渡す限りの草原。
どうしたものか……
『このまま、真っ直ぐ……』
頭の中に直接響く声……
この声、何処かで聞いた事が……
考えてる余裕はないな、従ってみるか……
俺は智治を支えながら声の通りに真っ直ぐ進む。
『……もうちょっとで、学校……』
まただ……
声に敵意は無いから平気だろうが、一応用心しとかないとな。
暫く進と確かに学校らしき建物が見えた。
「此処は……」
間違いない。
俺達が肝試しに訪れた廃校だった。
だが、〈雲外鏡〉の力で破壊された筈だが……
とにかく智治を休ませよう。
俺は廃校の中へと足を運ぶ。
あの日の昇降口、此処までは皆、一緒だったのにの……
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