2008年9月某日 不明 道化

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4号車に俺はやってきた。 相変わらず人間らしい奴等が無表情で座ってる。 当然、生きてる人間ではないが、〈霊〉でもない。 さしずめ夢の住人って感じか? しかし、この車両は他とは違った。 中央に大きな釜がグツグツと煮えたぎっていた。 「釜茹で……ね……」 此処に突き落とすのだろう。 先程と同じピエロがやって来て、乗客の一人の腕を掴み、煮えたぎる釜の中へと放り込んだ。 「ギャアアアアアアアアッ!」 悲鳴をあげる乗客。 いくら、夢の住人とはいえ、黙って見てるのは気分が悪い。 ピエロは次の乗客の腕を掴もうとしていた。 「たまには、お前が入ってみろよ?」 俺はピエロよりも早くピエロの腕を掴み、同じ様に釜の中へと放り込んでやった。 『キャハハハハハハハハッ!』 こんな時でも笑っていやがる…… 暫くすると、ピエロの笑い声はしなくなった。 『また殺したんですか~。後、一人しか居ないんですから、次は殺さないで下さいね~。』 ……やっぱり、こいつらアホだ。 『次は丸焼き~。丸焼きです~。場所は5号車です~。』 次で最後なら早く終わらせて帰りたい。 俺が移動しようとしと、歩き始めるとアナウンスが再び響いた。 『次は飯塚~。飯塚智治さんです~。あなたなら簡単に殺せます~。』
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