2008年9月某日 不明 終点

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モニターに映る人影。 間違いなく行方不明の同級生、飯塚智治であった。 「……見つけたのはいいが、丸焼きとか言ってたよな……」 俺は急いで隣の車両へと向かう。 扉を蹴破ると智治が居た。 「探したぞバカ野郎。とっとと、こっちに来い。」 智治は首だけを俺の方へ向ける。 うわ~。 今や日本球界のエースがなんて顔して泣いていやがるんだ。 「秀~!動きたくても動けねえんだよ!さっきからモニターに映る秀の所に行こうとしたんだけど、体が動かねえ!」 〈金縛〉か?それなら〈術者〉を倒せばいいんだが、あのピエロにそんな力があるのか? 俺が動けない智治に近づこうとすると、奥から容器を手にしたピエロがやってきた。 僅かに漂う悪臭、この臭いは…… 「ガソリンか?丸焼きどころの騒ぎじゃねえだろ。」 智治にガソリンを浴びせようとするピエロ。 俺は即座にピエロを蹴り飛ばす。 容器が宙を舞い、中のガソリンがピエロに降り注ぐ。 「今、〈術〉解くから待ってろよ。」 俺は智治に施されている〈術〉を解こうとした。 「……あれ?動けるぞ……」 智治にかけられた〈術〉が解けていた。 取り敢えず、ここから離れないとな。 俺が智治に肩を貸し、離れようとすると、ピエロが立ち上がり、自らの体に火を付けた。 『キャハハハハハハハハッ!』 こいつらイカれてる。 俺は智治と共に先頭車両へと向かう。 たちまち車内は火の海と化し、黒煙が覆う。 何とか1号車まで来た俺達。 後ろの車両からは爆発音が聞こえた。 『ホントにしぶといですね~。間も無く終点ですよ~。そこで終わりにしましょう~。次は処刑丘~。処刑丘~。終点です~。』 望むところだ。 早く終わらせて他の奴等を探さなきゃいけないからな。
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