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「ごめん、トイレ行きたいから……」  出来るだけ目線を合わさないようにアイツの横を通り抜けようとした。  するとすれ違い様に、 「……ねぇ、パティシエ辞めたの?」  絶対疑問に思っているであろうことを問いかけてきた。  聞かれた瞬間、胸に痛みが走る。    あたしはそれに答えることなく、逃げるようにトイレに駆け込んだ。  トイレの個室で胸元を押さえ、乱れてしまった呼吸を必死で整える。 『あのこと』を知らせてないからこれは想定の範囲内。でもやっぱり、  聞かれたくなかった……。
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