不器用な恋のうた。

４

　帰り道。アイツの言葉が頭の中でまだ響いている。

　辞めたのは事実だから仕方ない。それはわかっているけれど……。

――――あたしは中学生の頃からお菓子作りが好きで、部活の仲間にもちょくちょく手作りお菓子を振る舞っていた。

　意外に乙女だね、とか言われたりもして。

　本気でパティシエになりたいと思ったのは高校２年のとき。

　スポーツ推薦で入った高校で好成績だったから、当然体育大の推薦もあったんだけど。

　そういう話は全て蹴った。それだけ本気で。

　専門学校の資料請求をいくつもして、行きたい学校を選び、学校見学も行って……。

　高校３年の秋に一般推薦で入学を決めた。