沈黙

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       【弐】  僕が此から彼女に、今夜で最後の尻取りの勝負を、申し込もうとしたのが伝わってしまったのか?  不思議そうな顔をして僕を眺めて居る。  僕との関係を此からどうするかと言う話題を中断し、  「どうしたの?」  と訊ねて来た。  「一つ、お願いが、在るんだ」  許可を得ない事には、尻取りは始められない、かと言って承諾してくれるという保証も無いが、何も言わずに唐突に初めてしまうと、  彼女の意向を無視した事に成り、尻取りを強制してしまう。  僕は強制して迄勝負を申し込み、勝利しても、素直に喜べ無いだろう。  特に今回に限っては。  「なに? 単刀直入に話してくれる?」  と彼女は僕に訊ね返す。  彼女は話を勿体付けたり、亦、回答を待つ事を嫌い、僕にどうして即答出来無いのかと文句を付けて来る。  回答する迄に考える時間を与えて来れないので、僕は回答を急いてしまい、心にも無い発言をして怒らせてしまう事が多い。  尻取りで敗北を喫する原因でも在るのだが。
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