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「尻取り、して、貰え無いかな?」
『断られる事』も視野に入れて居たが、今夜此の店に彼女を呼び出した以上、後には引けなかった。
昔の様に、「尻取り遣ろう。うん、遣ろう」のノリで承諾してくれる程、彼女も、もう子供では無いのだ。
大人の店で尻取り勝負等と、店員や客からどんな目で見られるのかと思うと、恥ずかしいと言う気持ちも在るだろう。
僕も言うのは恥ずかしいのだが…。
然し、彼女から返って来た返事は意外なものだった。
「何か隠して無い?」
僕が普段しない様な事を唐突にしたものだから、何か隠し事でもして居るのかと察したのだろう。
僕は浮気や二股が出来る程、器用な人間では無い事は、彼女も恐らく知って居る筈だが、
黙って居ると、疑いが益々在らぬ方向に捻曲がってしまうので、
「い、いや、別に…」
と返答をした。
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