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財布から二人分のお金を出して、絢を起こす。
「…んー……」
うっすら目を開ける。
「帰るぞ」
「もう、そんな時間?」
「いや、まだ九時。でも、絢酔ってるし」
目を擦りながら、むくりと起きる。
またカーディガンの肩が落ちてる。
それを直して、膝にかけておいたジャケットを絢に着させる。
カーディガンは薄いから、外に出たら多分寒いから。
「俺ら帰るな。金、ここに置いておくから」
「もう帰んの?」
「絢も酔ってるし。早めに帰る事にした」
「ごめんね、みんな…」
酔いはまだ冷めてないから、素の口調で三人に謝る。
そんな絢にまた三人はぽかんと口を開ける。
まだこの絢に慣れてないらしい。
「じゃあ、また明日」
「ばいばい。おやすみ」
絢の手を引いて席を離れた時に視界の端に入った中村の顔。
…赤くなりすぎだろ。
繋いでる手に力が入る。
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