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「ゆーき?!」
驚き過ぎて酔いが覚めた絢が、俺の胸をバンバン叩く。
そんな動きもさせないように、背中に回す腕に力を込める。
「…ゆー、き?」
いつもと違う俺を不思議に思った絢は、腕の中で見上げる。
「………俺の本当の気持ち、聞きたいんだろ?」
コンテストの舞台裏と同じ言葉を言う。
ピクリと絢の肩が跳ねる。
「…もう限界。他の男に可愛い顔すんなよ」
「かっ、かわっ?!!」
「今日、俺ん家来て。少しでも俺と一緒にいて」
「………あ…。は、い」
一度も使われた事無い敬語を使われる。
素直に俺の言う通りにしてくれた絢が嬉しくて頬が緩む。
「っ」
絢が顔を赤くする。
「……ゆーきもその顔、絢以外にしないで」
「どんな顔か分かんないし」
クスリと笑って、絢を離す。
「じゃあ、行こ」
「うんっ」
飛びつくように俺の腕に絡んでくる絢の腕。
いつもならため息をついて仕方無くそのままでいるけど、今日はこんなのが幸せに思えた。
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