俺の親友

3/31
532人が本棚に入れています
本棚に追加
/648ページ
「順番は逆になったけど、絢が妊娠したから結婚しようと思って」 「ヒメちゃんのお父さんには怒られなかったの?」 「ん?あぁ。むしろお礼言われた」 どういう神経してるんだ、ヒメちゃんのお父さんは。 大事な娘。しかもこんな可愛い娘ができ婚なんて普通怒るだろ。 「お父さん、ゆーきの事信頼してるからね」 「ありがたい事にな」 信じられないけど、こんな素っ気ない悠希はヒメちゃんの両親のお気に入りらしい。 「式とかは?」 「さすがに学生の時には金無いから出来ないけど、資金貯まったら挙げるつもり」 「その時は来てね」 なんか一気に悠希たちが大人に思えた。 二十二歳とか世間的には大人になってるけど、俺たちから見たらまだまだ子ども気分な訳であって。 それなのに結婚式とかお金とかの話されてると、俺と同い年には思えなかった。 「井上くん?ボーッとしてるけど、どうしたの?」 「いや…。結婚の事に驚いちゃって」 「絢もびっくり。理想だったけど学生婚が出来て嬉しい気持ちの方が大きいけど」 なんて微笑みながら言う。 結婚する相手は悠希だって決まってるんだな。って今更思った。 他の人には目もくれずに、ずっと悠希一筋のヒメちゃん。 悠希だってひねくれた事言うけど、ヒメちゃんの事を一番大事にしてる。 誰もが理想とする恋人だと思う。 「ちょっと中村。そろそろ意識戻してよ」 塚本が中村の頭をひっぱたく。 「…………あ、あぁ。戻ってる、から」 「どんだけショック受けてんのよ、絢の結婚に」 「だって!俺らのアイドルのヒメちゃんが!こんな奴と結婚…!」 「こんな奴って…。あんたが言えたものじゃないでしょ」
/648ページ

最初のコメントを投稿しよう!