532人が本棚に入れています
本棚に追加
/648ページ
「順番は逆になったけど、絢が妊娠したから結婚しようと思って」
「ヒメちゃんのお父さんには怒られなかったの?」
「ん?あぁ。むしろお礼言われた」
どういう神経してるんだ、ヒメちゃんのお父さんは。
大事な娘。しかもこんな可愛い娘ができ婚なんて普通怒るだろ。
「お父さん、ゆーきの事信頼してるからね」
「ありがたい事にな」
信じられないけど、こんな素っ気ない悠希はヒメちゃんの両親のお気に入りらしい。
「式とかは?」
「さすがに学生の時には金無いから出来ないけど、資金貯まったら挙げるつもり」
「その時は来てね」
なんか一気に悠希たちが大人に思えた。
二十二歳とか世間的には大人になってるけど、俺たちから見たらまだまだ子ども気分な訳であって。
それなのに結婚式とかお金とかの話されてると、俺と同い年には思えなかった。
「井上くん?ボーッとしてるけど、どうしたの?」
「いや…。結婚の事に驚いちゃって」
「絢もびっくり。理想だったけど学生婚が出来て嬉しい気持ちの方が大きいけど」
なんて微笑みながら言う。
結婚する相手は悠希だって決まってるんだな。って今更思った。
他の人には目もくれずに、ずっと悠希一筋のヒメちゃん。
悠希だってひねくれた事言うけど、ヒメちゃんの事を一番大事にしてる。
誰もが理想とする恋人だと思う。
「ちょっと中村。そろそろ意識戻してよ」
塚本が中村の頭をひっぱたく。
「…………あ、あぁ。戻ってる、から」
「どんだけショック受けてんのよ、絢の結婚に」
「だって!俺らのアイドルのヒメちゃんが!こんな奴と結婚…!」
「こんな奴って…。あんたが言えたものじゃないでしょ」
最初のコメントを投稿しよう!