98人が本棚に入れています
本棚に追加
麻菜の周りにはいつも男たちが集まる。
相手にするのが面倒な時は、トオルに彼氏役をお願いしていた。
いつも近くで麻菜を見ていたトオル。
何故、彼氏を作らないのか不思議だったが、自分が彼氏役に指名され、二人で出かける度に、自分では役不足なんだと消沈した。
トオルは来るもの拒まずでそれなりに彼女もいた。
しかし満たされない思いがあり、それと同じ事を麻菜も持っていると感じていた。
だから、あえて恋人ごっこをするのであった。
そんな時、卒業と同時に自分のブランドを作り、店を出すんだと連絡がきた。
母親の再婚相手が金持ちで、仕事をするなら自分でやれ、と言われた事で、モデルの仕事は全て止め、デザイナーの道を進むというのだ。
トオルはずっと彼氏役でいられると思っていたのだが、麻菜がモデルを止めたら接点がなくなる。
これはもうアタックするしかない!
と気合いを入れた。
麻菜の店がオープンの日、トオルは休みをとり、告白の準備のため、レストランとホテルの予約を入れ、麻菜の好きな百合の花束を注文した。
最初のコメントを投稿しよう!