第一章 ~始まりの詩~

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筆記試験と面接を終え、卒業式。 そこまで中学校に泣けるような想い出は無いから、一応ポッケに入れておいたハンカチの出番はなかった。 卒業式はどうだっていい。それよりも合格通知が届くのは次の日、明日だ。 卒業式がおわって、教室で長い先生の話が終わり、漸く帰路につくことができた。 まさか、先生があそこで泣くとはねぇ…。 絶対泣かないと思ってたのに。 「ドキドキするねぇ~やっぱさ!!受かってるかなぁ」 「ったり前じゃん。学年トップのアンタがスベるわけないって、常識的に」 「そうそう。ドキドキするだけ損やで」 「緊張感ないなぁ~…二人とも…。つまんないのぉ~」 子どものように頬っぺたを膨らませる風嘉に、つい笑みが零れた。 それに釣られるかのように二人も笑った。 「じゃね。またLINEするわ」 「ばいば~い」 「またな、夕華」
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