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「一つ。時間かかりすぎ」
もう一本指が立つ。
「二つ。このままの配置だとお前がここに辿りつけないから、待ち構えてた連中の半分くらいは夕飯に向かわせた」
サタンはもう一度ゲソを銜える。
「わかったか?」
「ふ、ふざけるな! ナメやがって……!」
勇者がギリリと奥歯を噛んで、それから剣の柄を握る拳にぐっと力が入った。それを見てもサタンは組んだ足をほどかない。
「誇り高き勇者よ。名を何と言う?」
「エドワードだ、捻り潰してやるぞ魔王ッ!!」
それから、魔王は勇者が死なない程度に捻り潰し、死にかけだった愉快な仲間たちとともに城の外へと放り出した。
勇者にとって屈辱的すぎるこのエピソードは、のちに魔王が辿る奇怪な運命のきっかけとなることを、まだ誰も知らなかった……。
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