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翌日、私はジャンヌさんの書斎で、昨日も居たアルと魔法の勉強を始めた。
はじめは何も分からなかったけれど、アルや周りの人たちが沢山のことを教えてくれた。
魔力の作り方とか、技の出し方とか…とにかく数え切れないほどの知識が数ヶ月間の間に身についていった。
「そうそう、レイ上手だね。」
「ありがとう、アル。」
次の年からは、町を出て少し東に行った森で、実際に魔法を使う練習をしていた。
常にアルと共に練習をして、いつもお互いの事を励ましてきた。
アルは私よりも魔法に対する知識があって、その分、威力も高かった。
それも当然だろう。
彼は私よりも先に魔法を学び、ジャンヌさんにも度々指導をしてもらっていたのだから。
そのこともあって、私はアルよりも威力の低い魔法しか出せなかった。
頭では理屈はわかっている。経験の差が出ている、と分かってはいる。
それでも私は悔しくて、毎日アルがその日の練習を終えて帰って行っても一人残って練習を続けた。
アルは、夕暮れが迫ってくる頃になるといつも心配そうな顔で私を迎えにきてくれた。
「レイ、もう暗くなるから帰ろう。危ないよ。」
「…うん。分かった。」
そう言うと、彼はいつも安心した顔になる。
私はというと、彼の安心した顔に心を落ち着かせるとともに、何とも形容しがたい感情が湧き上がっていた。
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