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私とアルが12歳になった年、ジャンヌが新しい服をくれた。
元々、体の成長に合わせて伸張してくれていたのだが、それはいつも幼い時に着せられた服を大きくしたものばかりだった。
「すごい!昔絵本で見た服みたい!」
「ふふ、喜んでもらえてよかった。レイならきっと似合うよ。」
貰った服をじっとみて喜んでいると、ジャンヌも笑った。
先に着替えてきたアルは、白い首元まである半袖の上着に茶色の緩いシルエットのズボンを身にまとって私達の前に現れた。
「よく似合ってるじゃないか、アル。」
「ありがとう、ジャンヌさん。」
照れくさそうにアルは右手で頭をかいた。
「あれ、それ何?」
「ん?あぁ、俺の魔力を引き上げる石を埋め込んだブレスレットだ。お前の杖にはめ込んである奴みたいなもんだよ。」
「へぇ。」
彼の右腕には真っ黒なブレスレットがはめられ、よく見ると黒と緑を混ぜ合わせたような丸い石が埋め込まれている。それと同時に、自身が魔法を出すときに最近ジャンヌさんから貰った杖を眺めた。
自身の身の丈よりも長い、細かな装飾が施されている。杖の先端付近は4つの枝のように分かれ、それは歪ながらも円を描いている。
更に真ん中には真っ赤な魔力を増幅させる石があり、どういう原理かわからないが中央に浮いている。
「あ、私も着替えてくるね!」
「あぁ、楽しみにしてるよ。」
ジャンヌは笑ったまま手を振った。
「レイ、驚いたよ。まさかこんなに似合うとはね。」
白い七部丈のブラウスに黒のジャンパースカート、袖口にはフリルがあしらわれ、腰には紫のリボンが巻かれて背中のところで大きく結ばれている。
帽子は昔絵本で見た魔女の帽子そっくりで、紫のリボンがあしらわれている。胸元には杖と同じ真っ赤な石のついたコサージュがついていて、ひざ下まである黒いブーツに身を包んだ。
「こんな服着れるなんて、夢にも思わなかった!ありがとう、ジャンヌさん!」
「どういたしまして。」
「ま、レイには少し可愛すぎると思うけどな。」
「な、そんな言い方ないじゃない!」
アルはケラケラと笑いながらそんな事を言った。
「さて、喜んでもらってるところ悪いけど、2人には頼みたい事があるんだ。」
私とアルは、チラッとお互いの顔を見て、再びジャンヌに視線を戻した。
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