歯車

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「実は、2人に初めての仕事を与えようと思ってね。」 満面の笑みで話しかけてくるジャンヌは、唖然とする私とアルを尻目に、仕事の内容を話し出した。 「ジャスティから少し西の高原に一つの小さな洞窟がある。そこに住む人を…いや、そこに住む姫を守って欲しいんだ。もちろん、市民もね。」 西にある小さな高原…そこに住む人々…? 「ジャンヌさん、なんでそんな事を俺達に?」 アルが疑わしそうに聞く。 それもそのはずだ。 何故なら、現在かつてジャンヌと共に英雄の一人として名を残したミカエルが周囲の国々を荒らしまわっている。その護衛として私達を向かわせるに違いないからだ。 昔よりも強くなったとはいえ、ミカエルの率いる軍勢相手に太刀打ちできるかなんて分からない。 「君達を信じてるんだ。」 暫くの沈黙の後、ジャンヌは静かに答えた。 その目には期待と、ほんの少しの不安の色が混ざっている。 「非常に過酷な仕事になる事は承知だ。…引き受けてくれるか?} アルは何かを決心したかのように、キッと目を細めた。 そして、ジャンヌに向かってこう言った。 「任せてください。必ず守り通して見せます。」 その言葉に、私は思わず頷いた。 そして、ジャンヌは口元を緩め、優しく微笑んだ。
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