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目の前に広がるのはどこか、物語の中に出てくるようなお城の廊下だった。綺麗に整えられた石のブロックの壁に、そこに等間隔で並べられている燭台。今まで見たこともないような世界に、落ち着くことが出来なかった。
今までは薄汚い、日差しすらまともに入ってこない路地裏だったのに、いきなりこんな夢のような世界に飛び込んできてしまった。
そんな私には構わずにコツコツとジャンヌさんや、お付の人の足音が物静かな廊下に響く。
「今から私の書斎に行くが、君と同じぐらいの子供もいるんだ。ビックリしないでね。」
ジャンヌさんは優しく微笑みながら私に話しかけてくれた。
私は、ただ弱々しく頷く事しか出来なかった。
私と同じぐらいの子供か…。
どんな人なんだろう…。
「さ、着いた。」
気がつけば、目の前に大きく立派なこげ茶色の扉があった。
ガチャ…と重厚感のある音が、先ほどまで足音が響いていた廊下に響く。
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