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「…っあ、はぁ…んっ」
月明かりの射し込むベッドの上で、私は快楽に満たされながら控えめな吐息をこぼした。
家長の計らいにより、現世にいる間は黒崎家に間借りさせてもらっている。
秘密の狭い押し入れではなく、黒崎家公認の一室。
「もっと鳴いていいんだぜ」
「…たわけが…場所を、考えろ…」
その部屋で、今や情事の真最中だ。
だが思春期のただ中にある少年少女が、壁を隔てたすぐそばで眠りに就いているのだ。
そうそう淫らな声など立てられよう筈もなく、とにかく迂闊に喘いで彼ら(特に妹達)を起こさぬように注意を払いながらグリムジョーを受け入れている。
しかし、それは我が想い人にとっては随分と物足りなかったらしい。
「ルキア。声が、聞きてぇ」
囁くような、あるいは懇願するような、そんな低い声が真上から降ってきた。
あぁ、そんな声で、そんな顔でねだってくれるな。
応えてやりたくなるではないか。
胸の中心が大きく拍を打つ。
狡い、と思う。
言葉づかいこそいつもと変わらないのに、馬鹿みたいな大笑いや餓鬼のような悪態からは想像もつかないような柔らかな声。
その声にどれだけ私が狂わされているか、はたしてこやつは理解しているのだろうか。
視界に映る蒼い髪がいやに鮮やかで、吸い寄せられるように手を伸ばした。
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