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目を覚ますと、まだ夜は明けていなかった。
角度の変わった月明かりの下、すぐそばからは規則的な寝息が聞こえる。
瞳を向けると、案の定すやすやと眠っているグリムジョーの顔が間近にあった。
どこぞのオレンジ頭の眉間と同じで、こちらは鼻の付け根に不機嫌そうな皺が常に寄っているのだが、寝ているとそれも和らぎまるで子供のような寝顔になる。
眠っている時はかわいい顔をしているのだがな。
そう思い見とれていると、不意にグリムジョーが寝返りを打った。
あっという間に抱きすくめられ、逞しい腕の中に納められてしまう。
どんな夢を見ているのか知らないが、猫のように頬を擦り寄せてきた。
そのあどけない仕草に頬が緩む。
しょうのない奴め。
心の中で悪態をつきながらも、起こさぬようにそろりと背に腕を回した。
まったくもって忌々しいこの青空に私はすっかり囚われてしまったようだ。
それを嬉しいと思ってしまうあたりも、やはり末期なのだろうな
閉じられたままの瞼にそっと口付けを落とした。
視界を埋めるのは、さらさらと揺れる蒼。
明日の天気は晴れだそうだ。
仕方ない。
あの空がこやつと同じ色になったら、どこか連れ出してやるとするか。
青い空の下へ。
end
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