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「…っあ、はぁ…んっ」 軋むベッドの音よりもさらに密やかな吐息が黒髪の死神からこぼれた。 いつも吊り上げられているきりりとした眼は、今は潤んで柔らかい。   俺の下で喘ぐこの女は、やれ常識がどうだ迷惑がどうだのと、いつも口うるさい。 俺も大概声はデカい方だが、こいつのヒステリックな声だって俺に負けちゃいまいよ。 そんな大声も、こうやって抱いてる時にはナリをひそめちまって、押し殺したような声しか出しやがらねぇ。 この家の連中を起こさないためだとか言ってやがったな。 さんざんしつこく言われた事もあって、まぁ納得しない訳でもないが――正直、物足りねぇ。 「もっと鳴いていいんだぜ」 「…たわけが…場所を、考えろ…」 突き上げながらからかうように声をかけると、とろけたままの目で睨みつけてきた。 ……ヤバい。その目は、クる。 いつもの吊り上がった目もいいのだが、こう、快楽と理性の両方に揺れながら睨まれるのも……って、Mか俺は。 だが実際のところ、こいつの目と声にはゾクゾク感じちまうんだ。 そろそろ俺の残念な性癖を自覚しとかねぇと、色々持たねぇかも、な。
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