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応えがないのを分かっていて話しかけるのは、もう長くなる。
「紫苑。
俺は、起きてるのにお前が寝てるっておかしいくないか。
普通、逆だろ?
紫苑が俺を起こしてくれるんじゃなかったのかよっ…」
俺は起きてるのに、紫苑がこのままなんてことはあっちゃいけない。
遅刻しそうになったら起こしてくれるんじゃなかったのか?
紫苑がいないから、俺は自分で起きないといけなくなったんだぞ。
なぁ…また起こしにきてくれよ
毎日自分で起きるの大変なんだ
それに…
「言わなきゃいけないこと…
俺、まだ紫苑に言えてないんだ
今まで、ずっと先延ばしにしてたけどさ。
生きてたら、どんなことがあるか分からないって今回の事で分かったから。
今度はちゃんと言うよ。
俺がずっと、紫苑にも秘密にしてたことだ。
知りたくないか?
知りたいだろ?
早く起きろよ。
そしたら教えてやるから…」
死んだように動かなくても、この握った手には確かに血が通っていて暖かい。
それだけが紫苑が生きている証
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