ホワイトソース

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「もう黙りなさい」  否応なしな命令口調。  先生の黒髪は前髪にかかって、やる気のない目を隠してしまう。精悍な顔立ちに四角いフォルムの知的なメガネ。シャツのボタンは第二ボタンまで開いている。  覗く素肌。  触れたい。触れたい。  伸ばした手が、はたかれる。  あたしは先生を睨み付けた。  先生もあたしを睨み付けている。  黒板を背にして立っている先生。その真横の壁を思い切り足の裏で蹴った。激しい音が教室に鳴り響き、一瞬、先生の肩がびくりと震えた。  壁に付けた足に体重を乗せる。先生との距離が近づく。  触れたい触れたい。  セーラー服の青いスカーフ。落下する空と同じ色。  
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