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パールヴァティが機体を翻し、再び走り出そうと身を屈ませようとしたその瞬間、無数のワイヤーがパールヴァティの脚に絡み付き、拘束した。
ニヤは操縦席の中で操縦桿を使ってパールヴァティの手でワイヤーを引き千切ろうとしたがビクともしない。
「しまった……」
ニヤの額に冷や汗が垂れる。
自分を裏切った男の異名は『スパイダー』。
ワイヤーを操るのに長けていた。
即ち、蜘蛛の巣に掛かった。
「なんてこと……」
背後には五機の鉄巨神が大地を踏みしめる足音が、はっきり聞こえる。
『タラン大佐、お見事です。』
『この機体に乗っているのが、女……少女とは本当ですか?』
『見ればわかりますよ。でも、油断は禁物ですからね。』
ドックン……ドックン………
――嫌だ。
パールヴァティの無機物の瞳に光が差す。
――嫌だ、助けて。
――誰か、助けて。
もがくパールヴァティに敵機はジリジリと距離を詰める。
五機のうち、もっともパールヴァティの近くまで来ていた一機が手を伸ばす。
――助け……私に触るなッ!!
不意にパールヴァティの手の甲から刀が生え、触ろうとした機体の腕を切り飛ばした。
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