第一章

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パールヴァティが機体を翻し、再び走り出そうと身を屈ませようとしたその瞬間、無数のワイヤーがパールヴァティの脚に絡み付き、拘束した。 ニヤは操縦席の中で操縦桿を使ってパールヴァティの手でワイヤーを引き千切ろうとしたがビクともしない。 「しまった……」 ニヤの額に冷や汗が垂れる。 自分を裏切った男の異名は『スパイダー』。 ワイヤーを操るのに長けていた。 即ち、蜘蛛の巣に掛かった。 「なんてこと……」 背後には五機の鉄巨神が大地を踏みしめる足音が、はっきり聞こえる。 『タラン大佐、お見事です。』 『この機体に乗っているのが、女……少女とは本当ですか?』 『見ればわかりますよ。でも、油断は禁物ですからね。』 ドックン……ドックン……… ――嫌だ。 パールヴァティの無機物の瞳に光が差す。 ――嫌だ、助けて。 ――誰か、助けて。 もがくパールヴァティに敵機はジリジリと距離を詰める。 五機のうち、もっともパールヴァティの近くまで来ていた一機が手を伸ばす。 ――助け……私に触るなッ!! 不意にパールヴァティの手の甲から刀が生え、触ろうとした機体の腕を切り飛ばした。
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