プロローグ

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 この世に星の数ほどいる映画を愛する者たちへ。 人々はどんな想いで映画を創るのだろうか? どんな映画監督にしろ必ず共通することがある。 それは映画を愛しているということだ。  だが、もしも映画を心から憎み、映画を殺す為に映画を創る者がいたとしたら……果たしてその映画はどんなものになるんだろうか? 今から十数年前、日本である一本の映画が公開され世間を震撼させた。 その映画はある日本の裏社会の秘密を暴いたものだったが、内容は極めて過激でどうやって公開に持ち込んだのかも当時から謎に包まれていた。  そればかりかこの映画にはエンドロールが存在せず、スタッフ、キャストはおろか、撮影場所さえも定かではなく、多くの謎に包まれていた。  しかし、一つだけ記されていたのはこの映画を作ったと思われる監督名だった。 監督の名は〝蛇崩庵娯〟。 映画関係者もマスコミも一切知らないこの謎の人物については、当時かなりの話題となった。  しかし、これだけ騒がれたこの映画も一部の熱狂的なファンを除き、時間と共に次第に忘れられていった……。
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