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ある人物が俺の日常生活を常に観察していた。
俺はそんなことにちっとも気づかずに、甘ったるいぬるま湯の中に身を浮かべるようにダラダラと暮らしていた。
カーテンの隙間から差し込む太陽の日差しが薄暗い部屋の中をぼんやりと照らしていた。
俺はベッドの上で寝返りをうち、重たいまぶたを開いた。
携帯の時計を見るとすでに正午を回っていた。
俺はゆっくりと起き上がり、トイレで用をたし、再びまだぬくもりが残るベッドにもぐりこみ二度寝を始めた。
俺の名は五味 凛一郎。
今は無職のニートだ。
毎月送られてくる親からの仕送りでギリギリの生活をしている。
幼い頃、ある映画を見て衝撃的な感動を受けた俺は、高校を卒業すると同時に上京し、映画の専門学校に入学した。
当時は映画監督を目指し、夢と希望を胸に秘めて毎日を過ごしていた。
しかし、映画学校を卒業した俺は製作会社に入社して現実を思い知った。
学生時代とは違う厳しい現実の波は社会人デビューをしたばかりの俺に容赦なく襲いかかってきた。
大量の雑用、面倒くさい人間関係、わずかしかない睡眠時間、理不尽な上司、おもしろくない撮影現場、通らない企画………。
俺はわずか一年で製作会社を辞めた。
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