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『朝っぱらから何なのようるさいし暑苦しい!』
「何って言い草はねぇだろ? 遅刻しないように起こしてんのに」
少しは感謝しろよな。 なんて言葉を投げる功平を一瞥した後、私は仰々しいため息をつく。
『寝坊がなんだって言うのよっ』
「いいから ほら起きろって」
グイっと腕を引かれ渋々上半身を起こした私の視線の先、目の前にいる功平の後ろの方に貼られたカレンダーが目に止まった。
あ~いけない忘れてた、今日はあそこに行く日だ。
ワザワザ昨日会社で休みを取ったのにそれを功平に伝え忘れたせいで一緒に早起きさせられる羽目になった事を今更ながらに後悔する。
『今日私休みだった』
「は? ダメだっての、先週もなんだかんだ言って休んでたろ? 今日は行かなきゃダメだっての」
『違うってば、休みたいって希望じゃなくて昨日有休取ったの』
私の言葉を聞いた功平は何故か不思議そうに私の顔を覗き込む。
「因みに何用で?」
『……。』
何処に行くかなんて素直に言える筈もなくて言葉を詰まらせてしまったけど、すぐにいつものスマした顔で立ち上がる。
『別に私が何処に行こうと功平には関係ないでしょ』
それ以上突っ込まれたくなくて、いつもより冷たく抑揚のない声でそれだけ呟いた。
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