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「そう言われても気になんだから仕方ねぇじゃん。
美優って時々そうやって何処か1人で出掛けるだろ? 行先も誰と会ってるのかも聞かれたくないみたいだけど、凄い気になんだよ」
『……。』
少し俯く功平に視線を向けながら ごめんと謝った方がいいのかどうか真剣に悩んだ。
別にやましい事をしてる訳でもないけど、何故かそんな気持ちが込み上げてきた。
きっと、隠している事への罪悪感からかもしれない…
「ひとつだけ」
『え?』
俯いていた功平が突然そう呟くから思わず素っ頓狂な声が出たけど、そのまま彼を見続けた。
「ひとつだけ聞いてもいいか?」
何を聞かれるのか少し警戒しながも小さく頷く…
「美優が会ってる相手って男?」
そんな質問がくるなんて思ってもなくて どう答えていいのかわからない、だって相手は男だけど功平が心配しているような事なんてこれっぽっちもなくて、
だけどそれを伝える事で次にされる質問が怖くてやっぱり頷くしか私には出来ない。
「わかった。 ……夕飯までには帰って来いよ? 何か作っておくから」
聞きたい事は山のようにあるんだろうけど、それを全て飲み込んだ功平は俯いたままそれだけ呟いてスーツを掴んで部屋を出て行った。
『……。』
ねぇ功平……
いつもは強引にでもするキス…今日は忘れてるよ。
なんて、そんな事も出来ないくらい追い詰めたのは私じゃない。
だけど本当の事は話せない……
言えば今の幸せはないと分かっているから、だから絶対 話さない!
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