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「そろそろ話してみてもいい頃じゃないかな…」
尋ねるような言い方じゃなくて、独り言のようなそんな声色で優しく言葉を落とす彼からそのまま視線を逸らし続けその先に見えた窓の外を私は見つめた。 天候が悪い訳でもない今日はそこから眩い青空が広がっている、
功平は今頃何してるんだろう…
そう考えた私の脳裏に浮かんできた彼の顔がいつもの功平の顔じゃなくて家を出る前のあの顔だから嫌になる…
別に私だって隠したままでいるのがベストだなんて思ってる訳じゃない、分かってはいるんだけど、ただ普通の奴ならみんな自分も同じ目に会うんじゃないかと怖くなるだろうと思うだけ…
依存されるんじゃないかって。
いくらあの能天気な功平だって本当の事を知ればヒクにきまってる、離れていくと分かっているから私に選択肢なんてものは存在しない。
でもそんな事を隠してまで功平を失いたくないと思ってるなんて思わず自嘲してしまう…のめり込み過ぎないようにとブレーキかけてたつもりだったのにな。
そんな事を考えながら残った時間いっぱい髪を弄りながら考え事をして過ごした、いつもの事だけどこの先生は絶対何かを無理強いして引き出したりはしてこない、それを分かっていたから私もすぐに答えを出そうとかそんな面倒な事は考えなかった。
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