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時間も酔いも深まったところで家に向かった、
ガチャなんて小さな音を立て空いたドアから家の中を覗けば そこから微かな明かりが差し込み私の心をホッと和ます。
良かった、今日はもう帰ってたんだ……
あまりあるわけじゃないけど、たまにする残業の可能性もあると考えてもっと遅く帰ろうかと思っていたけど、そんな必要無かったらしい。
「何やってんの?」
まだ玄関から顔だけだしてる私の耳にそんな声が届きハッと我に返る。
「入らねぇの? それとも何、入り辛い理由でもあんの?」
『は? ちが…』
怒っているのか無表情の彼に多少動揺しながらも慌てて首を横に振ろうとするけどそれより早く功平に腕を引かれた。
酔った足が言う事を聞いてくれず靴を脱ごうと出した足がもつれそのまま功平の上に倒れ込むように覆いかぶさってしまった。
『いった~、急に腕引っ張んないでよ、怪我でもしたらどうす……っ』
文句言って睨みつけてやろうと勢いよく顔を上げたのに、至近距離にある功平の瞳が不安気に揺れているから思わず言葉を止めてしまった。
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