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結局、巫御はすぐに退散。
美穂の隣には凌がいて。
「いいですか? 巫御君と会うのはいつも偶然ですから!」
「美穂はそう思っていても向こうは違うかもしれないてしょ?」
「……偶然にしておいてください」
「いいね、偶然でも会えるっていうのは」
「え?」
思いもしない返事に隣を見上げれば、いつものように爽やかに笑う彼。
「着いたよ。ドリンク作るんでしょう? 俺は先に体育館に行くから」
そう言って必要な荷物を美穂に手渡すと凌は体育館に歩いていった。
確かに。
彼の言うとおり偶然でも会えてしまう距離っていうのはいい。
アメリカに帰ってしまうと偶然どこかで、なんてことはありえないし声を聞くことすら難しい。
ネットでは顔が見せても触れることは出来ないし、時差があるから挨拶だって噛み合わない。
何もかも遠すぎて――。
「真咲先輩っ! 洗濯機が動かないんです~!!」
駆け込んでくる木村に「嘘っ!?」と声を上げて彼女と部室を飛び出した。
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