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向かうのは都内の体育館。
そのまま館内に足を運べば、
「凌! 忘れずに来たな?」
なんて失礼な琢磨のセリフが彼を歓迎した。
「琢磨、それって僕を馬鹿だと言ってるの?」
「興味も無いのに良く来たなって意味だ」
「やっぱり琢磨は失礼だね」
そんな会話をしていると、
「鳴海凌君だね、よく来てくれた。コーチの高杉だ」
爽やかハツラツ青年の顔をした男が一人凌に向かって歩いてきた。
「どうも。それで僕はどうすればいいですか?」
ニコリと笑ってそう言えば、今まで聞こえていたシューズの摩擦音がひとつずつ消えていく。そして、
「あー、うん。そうだね、取りあえず紹介というか……」
「あぁ、鳴海君か。よく来てくれたね。監督の河本です」
凌の前にこの中で一番歳を重ねた朗らかな中年の男性が一歩前に出た。
「それじゃ、早速だけどウォーミングアップしてもらえるかな。更衣室は誰か案内してあげて」
その声に琢磨が「こっちだ」と声をかけた。
それから着替えてまた館内へ。
入ってウォーミングアップをしていると、なんとなくさっきとは空気が違ってて、凌は小首を傾げた。
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