君伝3…4章 キスで繋いで

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「ウォーミングアップはいいかな? 君の実力を見せて貰いたいのだけど、どうしたものかなぁ」 「1ON1、とかどうですか? 一番実力が分かりやすいかと」 そう声をあげたのは、同じ年格好の彼。 「久しぶりだな、鳴海」 背は高く凌と同じくらい。黒く少しウェーブのかかった髪で、目はちょっとだけつり上がってる。 見覚えは、ある気がする。だけどはっきりとは思い出せないし何よりも名前が分からないから。 「……誰だっけ?」 にっこり笑ってそう言えば、 「沢村だっ! 宮崎のっ!!」 彼には思いっきり叫ばれて、 「あぁ、あの沢村。うん、久しぶりだね」 とニコリと笑えば、 「だよなぁ」 と、後ろで琢磨が声を殺して笑ってた。 「うんうん、学年も一緒だし沢村君が丁度いい相手になるかな?」 監督の声に沢村が「はいっ!」 と答えた。 「それでは5点先取の1ON1、始めるぞ!」 コーチから投げられるボールは凌の手の中に。 キュッとなる音に視線を向ければ沢村がいて、凌は僅かに口の端を上げた。
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