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「5対4、だな」
その声に「ですね」と肩を上下させながら答えたのは凌。
「いや、最近の大学生は凄いね」
なんて言いながらえくぼの彼が凌の肩をポンと叩いて通り過ぎる。
勝ったのは彼で負けたのは凌なのだけど……。
「負けたとはいえ、君の実力は十分分かったよ。今までの実績にムラがありすぎていろいろ不安視する声もあったんだが……」
高杉コーチの声に拍手する音が重なる。そして、
「うんうん、いや、素晴らしい。これで反対する者はいないよね?」
河本監督の声に誰も異論を唱えるものはいなかった。
その後、普通に練習してシャワーを浴びて、
「監督の隠し玉が大学生とは驚きだったけど、それも頷ける実力だね」
そうかけられる声に凌はニコリと笑う
「ありがとうごさいます。僕も負けるとは思いませんでした」
なんて答えるから相手は絶句。そして、
「あははっ、言うね。でも、俺、これでもアローズってとこで一応プロとしてやらせてもらってるんで簡単には負けられないのよ」
そんな会話に後ろで琢磨が青ざめるけど当の本人は全く気にしない。
「プロ?」
「そ、坂口っていうの。よろしく」
そんな友好的な挨拶に凌も「こちらこそ」と答えると後ろからホッと息をつく音が聞こえた。
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