死の星

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 地球の惑星調査団は、ある星を目指していた。その星の環境は地球のに良く似ており、生命が存在する可能性があるという事前調査の報告を受けたからだ。  調査団の目的は、その星にどんな生命が存在しているか、また、その生命が友好的であるかどうかを調べることにあった。 「間もなく、目標の星です」  若い団員がモニターで目的の星を確認して報告する。偉そうな団長はモニターに映る星を目の前にして自分の立派な髭を触りながら言った。 「よろしい。星に着陸、次第、調査を開始する。地球と似た環境の星だ。どんな生物がいても不思議ではない。我々と同じ人型の生命体もいるかもしれない。その場合、我々は不法に侵入した侵略者として命を狙われる危険性だってある。各々、十分な注意と警戒を怠らぬよう。我々の目的は、あくまで星の調査であり、侵略でもなければ、戦闘が目的もない。そこを重々理解しておくように」  団長による、いつもの演説がなされた。そんなこと、団員達は言われなくとも分かっていた。しかし、こうして、事前に確認をしておかないと、たまに違反する者が現れるのだ。  宇宙船はマニュアルに従って、安全な場所を見つけると、そこに着陸した。拓けた小高い丘だ。丘には青々とした草が生えていた。ここなら、周囲を見渡せて何かあっても、すぐに避難することができる。  ハッチが開かれると、数名の団員が先に宇宙船から降りた。空気の有無は確認済みであったが、どんな危険性が潜んでいるか分からないから。一見、のどかそうな光景でも、実は草には猛毒性があり肌に触れただけで死に至るなんてことも、十分に考えられた。滑稽なかもしれないが、ある程度の安全が確認されるまで、全員が船を降りるという訳にはいかない。  安全が確認されたとしても、しばらくは宇宙服を着たままでの行動が義務づけられるのだが。 「丘に着く途中、モニターで集落らしき場所を確認しました。さっそく、そちらの調査をしてみましょう」  団員が言った。  直接、集落に出向くのは危険な行為である。しかし、どんな生物がいるのか確認はしておく必要があった。モニターだけでは、確認できるのにも限度があるからだ。
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