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彼らが呆然としていると無線機から連絡が入った。連絡は宇宙船の周囲を調査していた団員達からだった。
「どうした?」
『団長!大変です!死体が見つかりました!』
周囲を調査していた団員達は、集落を調査していた彼らと同じように道端で死んでいる農夫を見つけた。何が原因で死んだのかは不明。ただ、眠るようにして死んでいた。
集落だけでなく、他の場所でも死体は見つかった。彼らの不安は更に煽られた。
「もしかしたら、何かしらのウィルスなのかもしれない」
団長は言葉を口にした。
集落だけでなく、広範囲に渡って発見された死体。そこから導き出されるのは、病気や何かしらのウィルスの可能性だ。
それが、元々、この星に根付いていたウィルスなのか、調査団に付着していた宇宙空間や地球原産なのかは分からない。
どちらにしろ、到着した直後に死者が発生したのは事実。因果関係は不明であるが、何かしらの問題があったのかもしれない。こんな報告、地球に持って帰る訳にはいかなかった。
団長は団員達と顔を見合わせた。何も言わずとも、お互いに考えていることは分かる。
頷き合うと、そそくさと宇宙船へと引き返した。
周辺を調査させていた団員達も船へと呼び戻す。もっと、探せば生存者が見つかるかもしれないが、ここは地球ではない。助ける義理も義務も彼らにはなかった。彼らは、調査団にすぎないのだ。冷酷かも知れないが、星を見殺しにするしかない。これは、この星の問題なのだ。
地球への報告も、この星は誰も住むことはできないで締めくくるつもりでいた。因果関係を追求されたら、また、この星の調査に派遣されるかもしれないからだ。
こんな死者だらけの星など、二度とゴメンだ。
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