死の星

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 地球の調査団が星を去って、一日が経った頃、家で死んでいた子供が急に起き上がった。 「ふぁ~あ」  子供はさっきまで寝ていたかのように大きなアクビをした。寝室の方では、親が目を覚ましたようだ。 「おはよう。お母さん、お父さん」 「おはよう」  起きて早々、母親は何事もなかったかのように昼食の準備を始めた。他の民家でも、人々が動きだし日常が戻りつつあった。 「あのさ、ボク、死ぬ直前に、不思議な光景を見たんだ」 「ほう?不思議な光景、どんなのを見たのかい?」  父親はパイプを口に銜え、火をつけて聞き返した。 「不思議な服を着た人達が、目の前に現れて何かを呼びかけていたんだ」 「ほう・・・。不思議な服を着た人とは・・・。生命に感謝する為に、世界中で一日だけ仮死状態を体験する日にみた不思議な格好の人達か・・・ボウヤは幸運だな」 「うん!あれが、きっと、本当に死んだ時に見る、天使って人達なのかな?」
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