青春とは虚像と虚飾。

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青春とは虚像と虚飾であり、この世界に光と闇があるように青春にだってある。可愛い女の子や恋愛でどぎまぎしたり、気さくな友人と友情を育むことを青春を光。可愛い女の子の前でキョドり、仲のいい友人同士を遠目から眺めるこれが闇。 青春の光に住んでる人間の携帯電話は友達のアドレスに溢れてる。 青春の闇に潜んでる人間の携帯電話は家族のアドレスしか存在しない。 けれど、誰もそのことを認めないだろう。意地っ張りな妹も甘えん坊な幼なじみもイケメンな親友も居ることが普通で、一人が友達がいない。携帯電話はもはや置物。教室でいつも狸寝入りを決め込み闇に潜み孤独に喘ぐ人間がいることをきっと認めたりしないのだ。 集団とは魔物だ。魔物は仲良しな奴らを取り込んで大きくなるが、気にくわない奴は数の暴力で粉砕する。集団こそ正義、それ以外は悪。闇などは光の目の前には為すすべもなく滅ぼされるだけなのだ。だが、俺はあえて言おう。孤独なボッチだって青春を謳歌する権利がある。 「ボッチ最高ってな」 「は? お兄ちゃん。頭どっか打ったの? それとも役立たずな脳みそ売ったの? お兄ちゃんがボッチなのって小学生からじゃん」 俺、香取勝樹〔カトリ、カツキ〕のトラウマを抉ってくれた、香取勝美〔カトリ、カツミ〕をギロリと睨みつけた。サイドテールにすらりと兄の俺より高い身長。つり目が特徴的な俺の妹。時折、姉に間違われる。 「なに? なんか文句あんの?」 「ないっす。あ、打ったと売ったってナイッス。なんつって」 「…………」 「なんか言えよ。わかってるよ。滑ったことくらいけどね。無言なのがめちゃくちゃ辛いからって、先に行くな。お兄ちゃんを置いていくんじゃない」
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