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男が出ていってすぐ、烏は堕ちるように眠りについていった。
烏はいつの頃からか、2つの人格を持つようになっていた。
黒い瞳を持つ夜の蝶である烏と、銀の瞳を持つ淫らな烏。
何が関係しているのか、時折現れる銀の烏。
その烏はまるで、ただ焦燥を無意味に掻きむしっているだけ。
己の欲望と欲求に素直に。
烏は、そんな己のもう一方を知っている。
自分なりに理解もしているつもりである。
だからか、烏は決して拒絶はしない。
自分の中に、貪欲で愚かなもう一人の自分がいることを知っているから。
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