第2話

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それから耕吉の用意してくれた飯を食べ、春菜が用意してくれた風呂に入った。 そして、あまりゆっくりは出来ずに上がる。 しかし、それだけで烏の身体はすっかり温まり、深緑の着流しだけでも寒くなくなった。 「はぁ…。」 そして、風呂から帰りに廊下を歩いていると、前からきらびやかな着物を着た美男子が歩いてくるのが見え、烏は廊下の端に寄って頭を下げる。 あれは、辰己花魁である。 この店で人気を二分するうちの一人だ。 この世界は上下関係が厳しく、規律を乱す者を排除していく風潮にある。 だから、烏はただ無言で頭を下げるのだ。 「あらあら。こんな時間に誰かと思ったら、貴方だったのですか。」 「…ご機嫌麗しゅう、辰己花魁。」 「ふふっ、ありがとう烏。」 辰己はその化粧を塗りたくられた顔を綻ばせて、また歩き出す。 あの人は、烏と会えば何かしら絡んでくる面倒な人だ。 絡んでくる時は優しくしているつもりだが、烏はあの人が影で自分を罵っていることを知っている。 だから、自然と苦手意識が生まれてしまい、なかなか上手く喋れない。 せっかく風呂上がりで気持ちよく部屋に戻ろうと思っていたのに、あんなのに会ってしまったせいで台無しである。 烏は、僅かに気落ちしつつ部屋に戻った。 .
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