第2話

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部屋に入ると、きちんと整えられた布団が目に入り、烏は迷わず布団に寝転ぶ。 きっと天日干しされたのだろう、暖かい匂いが鼻孔を擽った。 「…兄さん、入るよ。」 「あぁ、いいよ。おいで。」 廊下から聞こえた声に、快く承諾の返事をして、烏はまた布団に顔を埋めた。 「まーた着物そのままで寝てるー。皺になったの直すの、俺なんですよ?」 「皺にならないように寝てるよ、ほら。なってないだろ?」 入室してきた夏輝の早速の小言に、烏は淡く微笑んで首を傾げる。 そんな烏にため息をついて、夏輝は烏の寝ている布団に腰掛けた。 「烏兄さんってさ、なんでいっつもそんなに無気力なの。」 「……なんでだろ。」 夏輝は否定しないばかりか、心底分からないと言った風に首を傾げる烏に、苦笑を漏らす。 そして、寝転がる烏の髪を指に絡めて、ため息をついた。 「髪濡れてる。風邪引いちゃうよ?兄さん。」 「あー…。夏輝、拭いて?」 「もう…。しょうがないなぁ。」 夏輝は悪戯に微笑む烏に苦笑で返しつつも、烏の肩から髪を拭くための布を取る。 これは、烏のことを贔屓にしている客から送られた、たおるけっと、というものだそうだ。 触り心地が柔らかで肌に優しいのだと、いつだか烏が言っていた。 .
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