第2話

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「……兄さんってさ。」 「ん?どうした?」 「可愛いよね、ほんと…。」 「ははっ。当たり前だろ?だって俺は烏だぞっ」 夏輝は思わず目を細めた。 他の者に言えば、たちまち相手を赤面させてしまうような言葉も、烏には効き目がない。 そればかりか、それがさも当然のことであるかのような言い方で返されて、いつもこちらが困ってしまう。 この烏という自分と大して年の変わらない少年が、夏輝には時折、驚くほど眩しく、そして霞んで見えた。 消えていってしまいそうなのだ、光の中に。 光に溶けて、跡形も無くなってしまうような、そんな印象を受ける烏という存在に、夏輝は魅了され続けた。 「……なぁ、夏輝?」 「ん?なに?」 「……夏輝は、俺と違って格好いいよ?」 その言葉に、夏輝は瞠目する。 いきなり何を言い出すかと思えば、そんなことか。 わざわざそう伝えてきたのには、きっと意味かあるんだろう。 この人は悟い人だ。 何かを感じ取る感覚だけは、誰よりも研ぎ澄まされている。 だから注意せよと、店主である銀二からは言われていた。 でも、それでも。 「…ありがとう、兄さん。」 光と共に消えてしまいそうな、そんな烏を、夏輝は好かずにはいられなかった。
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