第1話

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「烏、おいで。」 「あ、はい。」 ここは、とある遊郭のとある部屋。 華やかな着物を着た芸子と、淡い紫紺の羽織を纏った男が一人。 芸子は男の腕の中に入り、甘えるように胸に寄り掛かる。 男の手が芸子の頭を撫でると、芸子は擽ったそうに首を竦めた。 「烏、お前今日の夜は?」 「…桂様さえ、よろしければ。」 「じゃあ、いいな。行くぞ、烏。」 「はい。」 そのまま立ち上がって、二人は隣の部屋に移動した。
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