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「………春菜、夏輝。いいよ、もう部屋に戻りな。」
「え、でもっ!」
「いいから戻って。俺からのお願い、聞いて?」
春菜(ハルナ)と夏輝(ナツキ)の二人は、烏の小姓である。
二人ともまだ齢18を迎えたばかりの双子で、髪の色さえ見なければ瓜二つだ。
春菜は栗色、夏輝は漆黒の髪を持つこの双子に、烏は半分監視のように付け回されている。
実質、この店の主から送り込まれた監視ではないかとの噂もあるが、烏はさして気にしていない。
「…分かりました。」
「ん、お疲れ様。」
不満顔な二人を部屋から追い出し、壁にぽっかりと開いた窓から空を眺める。
三日月が浮かぶ空はどこまでも澄んでいて、この世のことを全て忘れさせてくれるのだ。
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