第2話

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「………烏、入るぞ。」 「あ、はい。」 そんな烏に部屋の外から声をかけた男は、部屋に入るなり烏の目の前に腰を下ろした。 白地に深緑の玉模様の着物を着た大柄なこの色男は、この店【白詰】の主である。 「銀二さん…。何か用ですか?」 「いや?特にはねぇよ?」 「じゃあ、なんでいらしたんですか?」 烏は首を傾げつつ尋ねる。 その仕草に思わず目を奪われたが、銀二はそれを紛らわすように煙管を吸った。 「………銀二さん、俺を見張ってるんですか?」 「…………いや、違う。」 「嘘。顔に書いてありますよ。」 そう言って、烏は仄かに笑う。 そういえばこの子は聡いのだと思い、銀二は思わず苦笑した。 「見張ってるんじゃなく、心配してるんだよ。だって…」 「お前は今も昔もよく分からないから?」 銀二の言葉を烏が奪い、悪戯に微笑む。 こんな顔も可愛らしく見えるのだから、この子は罪な子である。 「…烏、こっちへおいで。」 銀二は胡座をかいた自分の膝を数度叩いて、唐突に烏を呼んだ。 .
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