1人が本棚に入れています
本棚に追加
「凌様、お時間です。」
居間でくつろいでいると、母さんの従者であり俺の世話役任されている、ロングストレートの金髪そして今日はそれにふさわしくメイド服に身を包んだ鞠亜に声を掛けられた。
「ん?ああもうそんな時間か」
時刻は7時45分これ以上家に居たら、遅刻をするギリギリの時間だ。
「はい、荷物のご用意は全て済んでおります」
全く自分でやると言っても聞いてもらえないのだから仕方ない。
まあこれは、鞠亜が準備をしないと俺が何も持たずに学校に行くからそれの予防策である。だっていらないだろ教科書の中身はすべて頭に入っているし、教師の板書もすべて記憶している。それで、何故教科書等と言う重りにもならないただ邪魔な物を持ち歩かなくてはならないのか、甚だ疑問である。
「オッケー。
退屈だけど行かなきゃ母さんに怒られるしな」
もう中学で教えてもらうことは何もないだろうけど、とりあえず出席だけはしないと母さんに怒られるのだ。
以前、さぼってボーっとしているところを、母さんに見つかったのが不味かった。
それにしてもあの時の母さんの言葉は印象的だった。
「サボるなとは言わない。
あんな所お前にはとてつもなく退屈だろう。
私も学校はよくサボった。でもねサボるならもっとましなサボり方をしな!
こんなとこでボーっとしてるくらいなら。学校いきな」
全く子供にサボるなとは言わないって。
まあやることもないし、学校の席で座ってるのもあんまり変わらないし、授業中に居なくなってもうるさく言うやつはいないし。母さんの言うことは的を射ていた。
「凌様、今日は何時ごろのお戻りですか?」
毎日、鞠亜は俺にこれを聞く。
「ん~、いつも通り」
俺の答えもほぼ毎日これだ。中学に友達は居ないし、委員会や部活にも入ってない。即ち何もないので授業が終わり次第帰宅である。
「そうですか」
考え事や鞠亜と会話をしているうちに、家の門のところまで着いた。鞠亜の見送りはここまでだ。
正確にはここで止めない学校まで着いてくるのだ。
「じゃあ、行ってくる」
鞠亜から荷物を受け取り、振り返る。
「行ってらっしゃいませ凌様」
鞠亜は深くお辞儀をする。このお辞儀はどうやら俺に対してだけ行われるものらしい。
「おう」
短く返事をして、家の門をくぐった。
最初のコメントを投稿しよう!