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ミュージカル部員達が手を挙げて挨拶する。
「アミーゴ!」
「「アミーゴ!」」
今年の演目で行われる劇中にきっとそのシーンが出てくるのであろう。彼らの会話を聞くと、時たま劇中のセリフであろう言葉が出てきた。
……はぁ、出たかったなぁ……。
元ミュージカル部員である私のの悲痛な心の叫びであるこの言葉は、彼らに告げることは絶対に無い。正直、彼らより上手く踊れる自信もあり、うまく演技ができる自信もあり、うまく歌える自信もあった。本当なら高校最後の公演。本当なら今までの役以上のものを狙えるはずだった。が、一瞬の誤りにより、壊れた。
Iくん。ミュージカル部3年唯一の男子であるIくん。浮気された被害者として部活に受け入れられたIくん。その明るい性格の中に闇があることも知ってるし、それをたまにわざと出すことも知ってる。私がトラウマで恋愛できなくなっちゃったかわいそうなIくん。
……こんな事を思っている私はちょっと危ない人なんじゃないか?
とか思いながらも、Iくんのことがずっと気になり、移動教室のたびに彼の姿を探していた。
体重:49.5㎏
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