第1章 トイレの花子さん

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癖にように再びため息をついたとき、ある生徒が目に入った。 今にも顔が隠れてしまいそうなぐらいまで伸びた髪。 制服にはしわが付いており少し汚れている。 何を読んでいるのかは分からないが本を読んでいる。 人との関わりが少ない春義でも彼女のことは知っていた。 黒沢莉奈。 暗い性格が有名で度々廊下で他の女子から嫌がらせをされているのを一年の時に見かけたことがあった。 嫌われている原因は性格だけではない。 一番の理由として挙げられるのは学校一嫌われている『心霊探索同好会』に入っているということであった。 心霊探索同好会とは、嫌われているということもあってどういうことをしているのかという実態はあまり知っている学生は多くはないが、夜遅い時間になると活動を始め 心霊や怪談といったオカルトチックなことを夜な夜な調べているのだと言われている。 活動時間が夜だというのともあって会長が誰であって、会員が何人いるのかということも知られていないため より一層ぶきみがられてしまい嫌われる原因となっていた。 だが黒沢は一年の時にたまたま心霊探索同好会の部室に入るところをある生徒に目撃されてしまい、会員であることがばれてしまったのである。 その事はすぐに学校中に広まり黒沢は学校一の嫌われものとなったのだ。 そのため春義も黒沢のことを知っていた。
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