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ララが海の方を向いて目を閉じて立っている。
潮風を全身で受けて心地良さそうに微笑みながら。
時折り風が強く吹く。
その度にララの長い銀色の髪が背中より離れ、後ろへとなびく。
まるで滑空している様に。
すると沈んだとばかり思っていた太陽が、雲間から一条の光でララの顔を照らし出す。
世界が仄暗い黄昏に包まれてゆく中、ララの顔が今、沈みつつある陽光を浴びて浮き上がって見える。
「ララ」イェリスは一人で呟く「あなたは、とてもきれいだったのね」
黄昏は果てしなく何処までも黄昏であり、決して夜にはならない
同様に、その仄暗さがいくら深みを増して行ったとしても、決して真っ暗な闇にはならない。
永遠なる黄昏
幸か不幸か、時と共にしか存在し得ないこの世界に於いて、我々人間が永遠という観念を持つことは出来ない。
しかし希に、それを感じる瞬間に出くわすことがある。
この時の様に
イェリスは夕暮れの丘に佇むララの姿を見てそんな思いに耽っていた。
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