松嶋家 玄関前

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 どのくらい時間が経ったのか。 多分一時間は二人、泣いていた。 「菫、お前はさ、この家の子に生まれてきて……それだけで親孝行モンだよ。 だから、自分を責めるなよ、お前、進学しなかった理由もお母さんの為だったんだろ?僕なんかより、ずっとずっとしっかりしてて、親孝行してて……。」 「葉……。相談しなくて、ごめん。一緒の大学行けなくてごめん……っ!」 泣きやんでいた菫は、また涙をぽろぽろ零した。 「あの……さ。」 菫の手を取り、目を見つめて、僕は力を込めた。 菫が安心するように、僕に後少しの勇気を込めるように。 「なに……?」 「いや、卒業式……ちゃんと来いよ。」 やっぱり僕は不甲斐ない……かもしれない。
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