第1話

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駅の構内から出る帰宅ラッシュアワー。その中に栗林理沙ーくりばやしりさーはいた。 茶髪の髪を肩口で切り揃えたセーラー服を着た女子高生で右手にはスマートフォンが握られ素早く動かしており親指の動きだけを見たら残像しか見えない。 隣には友人である森美由紀ーもりみゆきーが歩いている。 黒髪をロングにし、理沙より色白な美人で、同じセーラー服を着ており、これまたスマートフォンを使いながら歩いていた。 「う…!ぎゃああああっ」 突然、スマートフォンを握っていた理沙が改札を出た瞬間声を押し殺した悲鳴を上げ近くの柱によりかかる。 「ど、どした?」 慌ててスマートフォンを操作するのを止めて駆け寄る美由紀。理沙は過呼吸気味に呼吸を荒げ、片手で鼻を押さえながら無言でスマートフォンの画像を美由紀に見せる。 「…がふあ!」 今度は理沙が撃沈した。 そこに映し出されていたもの…… 上半身を半裸状態な男性二人が淫らに抱き合っている本の表紙の画像……いわゆるびーえる本の新刊の表紙だった。 「立花ののえ先生の新刊が来月発売でイラストがやばすぎませんかこれれれ」 「こ…この絡み具合…さすが先生にしかだせませんわ。これは買いですね」 はすはすと鼻息を荒くしながら二人は駅構内だということも忘れて携帯画面をのぞき込みぎゃあぎゃあと人目もはばからず騒いでいる。
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